なりた

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館山の海

僕は重い鉛色の空の下、沢山の船が停泊する港の防波堤を歩いていた。
あたりに漂っている濃い霧のせいもあり、終りが見えない防波堤の上である。
その光景は田舎の館山とは似ても似つかぬ光景だったが、僕はここが館山だと思っていた。
防波堤の上を歩いていくにつれて海面には多くの魚影が見え始めた。 1mはあろう大きな魚影がいたるところで動き回っている。
さらに歩くと海の色が深緑から灰色に変わってきた。
そして海面には無数の一升瓶のような形をした植物が浮いたり沈んだりしている。
「なにやらしばらく見ないうちに館山の海はエライことになっているぞ」
そう思っていると突然、海面にタタミ16畳ぐらいの巨大な魚影が現れ、防波堤に近づいてくる。 そして僕の前まで来ると、ものすごい水しぶきとともに海面からその魚が顔をだした。
その魚は一見ジンベイ鮫のように見えたが色は黒く光っており、その目は昆虫の複眼そのものだった。 複眼の目がどこをみているかよくわからなかったが、その魚は僕を一瞥するとまた海に戻っていった。

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